
文:加藤昭広(イル・ビアンコ)
私達がテッレ・ディ・シエナを最初に味見したのは、2006年の晩秋でした。既にそのシーズンに搾られた「新物」が出回っている時期でしたが、あえて前年の産である2005年物を買い求めることにしました。「新物」のオリーブオイルは、新鮮ではあるのですが、搾りたての辛味が強烈に残っていることが多く、じっくりとした味見には適さない場合が多いからです。一般に、「新物」のオイルは11月~翌年2月頃までに出回るものを称する場合が多く、その独特の辛味も、ボトル詰めされて4ヶ月も経つと、次第にまるくなり、ほとんど感じられなくなるものなのです。
ところがテッレ・ディ・シエナは、違っていました。搾ってから1年以上経過しているにもかかわらず、その味わいは鮮烈で、何と辛みもしっかり残っていました。しかも強過ぎず、辛みの奥にはナッツに似た濃厚な香りと、フレッシュでフルーティな味が存在していました。同時に試した他の銘柄の2005年物が、すっかりおとなしくなっていたという事と、翌年のテッレ・ディ・シエナもやはり強い味わいだった点を鑑みて、生産、保存技術のしっかりした生産者と思い、試しに地元トスカーナ人に味見してもらうことにしました。
味見には、フィレンツェ在住の生粋のトスカーナ人であり、私達のパートナーでもあるジャンルッカ夫妻に加わってもらいました。マローニ社の紹介で少し書きましたが、特に奥さんのアンジェラは、コック顔負けの料理上手、オリーブオイル使いにも、強いこだわりを持っています。「このオイルは、味がうすい」「これは、オイルの搾りかすのにおいがして、油くさい」「これは美味しいけど、値段が高すぎるわ」と、次々に味見をしていく中で、「これは、私達に馴染み深い香り。トスカーナの典型的な味ね!」と太鼓判を押してくれたのが、カミリアーノ社のテッレ・ディ・シエナでした。