カミリアーノ社 訪問記

カミリアーノ社のマーケティング・ディレクターであるパオラ・ファラブレッティさんは、出産を20日後に控え、大きなお腹で出迎えてくれました。村の広場から出発して、カミリアーノ本社、広く階層の深いワインの醸造所、古い古いワイン・カーヴ、村人の唯一の憩いの場であるディスコ(といっても、盆踊り場のような雰囲気でしたが)などを案内してくれたのですが、町中で会う人みんなが「パオラ、赤ちゃんはまだ?」と声をかけてくる様子は、微笑ましくのどかです。

年代物のワインがずらりと並ぶ古いワインカーヴ

この集落の周辺に広がるカミリアーノ領を、現オーナーであるゲッツィ家が購入したのは、1957年のことでした。現オーナーの父親が、村に手を入れて、家や農園滞在型ホテル(アグリ・ツーリズモ)を作り、ワイン醸造所に設備投資をしたと言います。現在のカミリアーノ領は530ヘクタール、実にサッカー場1000個分の広さです。92ヘクタールのブドウ畑を持つカミリアーノ社は、モンタルチーノで4番目に大きいワイン製造家です。ブドウ畑の他に40ヘクタールのオリーブ畑、200ヘクタールは穀物畑、残り約200ヘクタールは森林で、イノシシやヤマアラシ、イタチなど野生の動物が住んでいるそうです。

広大なカミリアーノ領

野生動物が多く住む広大な灌木地帯が、乾いた大地のすぐ隣にあるのもこの地の特徴です

一切の妥協を許さない、贅沢な製法で、限定生産

本社兼工場を案内してもらいました。基本的にはワインの醸造所ですから、大きな醸造用設備が並んでいます。ここは最高級のブルネッロ・ディ・モンタルチーノ(Brunello di Montalcino)から、手頃なテーブルワインまで、様々な種類のワインを毎年約33万本生産し、世界30カ国以上に輸出もしています。それに対して、オリーブオイルの生産量は毎年3000本程度ですから、とても少量しか生産していないことになります。

ファラブレッティさんは、舗装もしていない農道を通り、オリーブ畑へと案内してくれました。一般のオリーブオイル農家と違い、ワインがメインなので、ブドウ畑の中に、ところどころオリーブ畑が交じっている、という風情です。地質は、凝灰岩やガレストロと呼ばれる砕けやすい岩石の一種で、水はけがとても良いのが特徴なのだそうです。

「10月~11月に来てくれれば、オイルを搾るところが見られて、もっとよかったのにね。その時期は、オリーブが色づいてるの。ちょうどぶどうが色づくのと同じね。黄色、緑、赤、紫、いろんな色になるので、とてもきれいよ」と、にこやかに話してくれるファラブレッティさんは、彼女自身の実家もオリーブオイル農家で、オイル作りにとても精通していました。

ファラブレッティさんはオリーブ畑を見せながら、カミリアーノ社のこだわりについて説明してくれます。「昨年の収穫は6000~8000kgだったけど、そのうち厳選して3000~3500キロをオリーブオイルにしたわ。今年は、天候にもよるけど、もう少し多いかもしれないわね。でも、毎年だいたいこんな割合でオイルをつくるのよ。」つまり、生産したオリーブのうち、質の良かった半分程度しか搾らない、と言っているのです。何という、贅沢な話でしょう。

カミリアーノ領の歴史がうかがえる樹齢1000年近いオリーブの古木

カミリアーノ社のオリーブ農園。昨年大々的に剪定をしたそうです