生産ラインを見せてもらいました。生産現場を見るにあたり、衛生のため、帽子とスモックを身につけるよう指示されました。リカルドさんは、衛生着を身につけ終わると、おもむろに腕時計を外しました。肌に直接つけていたものには雑菌が繁殖している可能性があるため、工場には持ち込まないのだそうです。私の妻が身につけていた小さなピアスとネックレスも外させます。当然のことではありますが、社長自ら、面倒がらずにきちんと手続きを踏むところが、いかにも几帳面なリカルドさんらしい、と改めて感じ入ります。
まずは品質検査室。品質管理は厳格で、何段階にもしっかり検査した後に出荷されます。特筆すべきは出荷後の検査態勢で、生産日ごとにサンプルを残してあり、製造から賞味期限が切れる2年後まで、どのような品質状態になっているか適時品質チェックしているそうです。つまりみなさんにお届けするパスタと同じものが、フェリチェッティ社にあり、日々、品質チェックされているという事です。
次に工場の中。この日は主力商品であるオーガニックパスタの生産をしていました。他にもパスタ工場を訪れたことがあるのですが、比べてみると、こぢんまりしているが非常に機能的、整然としていて無駄のない工場です。その一例が在庫管理。狭い倉庫内は、見事なくらい整理され、整然と高く製品が積み上げられています。日産70トンのパスタを小さなスペースで管理出荷するのは簡単な事ではないと思います。この大変な作業を配送までをたった二人でこなしているそうです。

きっちりと積まれたパスタの箱(1)

きっちりと積まれたパスタの箱(2)

フェリチェッティ社の人達は、実に几帳面に、規律正しくきっちり仕事をこなします
リカルドさんは、工程ごとに、丁寧に教えてくれます。説明の間によく出てくるキーワードは「sicurezza」、日本語で「安全・安心」のことです。その言葉から、非常にまじめで厳格な姿勢が伝わってきます。「SELEZIONI」の素材を探すにあたり、商業的な品種改良がされていない原種にこだわったのも、このためだと思われました。

ひとつひとつ丁寧に教えてくれました。彼は口癖のように「食の安心・安全」を口にします
実は以前、商品を日本へ輸送するにあたって、船便のドライコンテナを使っても差し支えないか、リカルドさんに相談したことがありました。ドライコンテナ、とは温度管理のされていない、ごく一般的に使われるコンテナのことです。イタリア~日本間は、赤道直下を通ることもあり、万一コンテナが船の甲板に設置されようものなら、直射日光を浴び、数日~2週間にもわたって、コンテナ内温度が60度にもなる可能性があるのす。
一見、保存方法に神経を使わなくても良いように思われる乾燥パスタですが、実はパスタも製造方法によって、低温乾燥(40度くらい)をしている場合もあります。つまり乾燥過程よりも20度も高温になるわけですので、品質の劣化を心配して質問してみた次第です。彼からの答えは、「船便のドライコンテナでも、船倉の下にくるように指定しておけば製品の劣化につながるような高温になることはない。しかし以前に一度だけ、私の顧客で、船会社の手違いによりコンテナが高温になってしまい、わずかに残ったパスタの水分が袋の中で蒸発し、品質の劣化を起こしたことがあるので、注意が必要」ということでした。
この一件は、フェリチェッティ社の責任ではありません。あくまでも彼らの顧客と船会社の問題です。また、普通このような誤解を招くようなネガティブ情報はメーカーからは出てきません。事実、同じ問い合わせをした別のパスタ会社からは「全然問題ないので大丈夫」という返事がきたものです。リカルドさんの実直で真摯な姿勢に感銘を受けたエピソードのひとつです。