フラントイオ・ヴェンチュリーノ社 訪問記

1時間前に搾ったばかりオイルを味見させてもらいました。みどり色の鮮やかなオイルは、とても濃厚でフルーティです。

社長のヴァルターさん曰く「ヴェンチュリーノ社のものは、他の地方の物に比べるとDolce(やわらかい、甘い)。そしてオイルはすべてグレッツォ(無濾過)。なぜならそれが一番美味しいからね」

ここでひとつ困ったことが。無濾過のオイルは、濾過した物に比べて品質管理がデリケートに行われなければならないと、以前に訪問した、トスカーナのマローニさんから聞いていたからです。イタリアから日本へは、船便では一ヶ月半くらいかかります。リーファー(=冷蔵)コンテナを使用すれば温度管理は大丈夫かも知れませんが、ひと月以上、波に揺られている状態が続きますし、移動時間で鮮度が落ちていくのは事実です。結局、このヴェンチュリーノ社のオイルをできるだけ鮮度の良い状態で日本に持ち帰りたいという思いから、費用は船便の数倍かかっても、全ての商品を航空便で輸入することに決めたのでした。

真ん中が社長のヴァルターさん、右が息子のティツィアーノさん

ヴェンチュリーノ社には、センスの光る魅力的な品がいっぱいです

ひと通り工場内を見学させてもらった後、場所をショールームに移して話を続けました。オリーブオイル以外にも、ジェノベーゼ・ペーストやオリーブのパテなど、美味しそうな商品が目白押しです。それぞれが、ヴェンチュリーノ家伝統のレシピとのことでした。

オイルを紹介してもらううちに、耳寄りな話が聞けました。「うちはDOP(原産地保護呼称)のエクストラ・バージン・オリーブオイルも生産しているけど、DOPはボトル一本ごとに貼る認証ステッカーを買わなければならないので、そのぶん商品としては高くなってしまう。その点、この“ヴァッリ・デッラ・タジャスカ”は、DOPと中身は全く同じオイルだけど、DOPの折り紙を付けていない分、安く販売できる」との事でした。私が10年来、いつも買っていたのは、まさにこのDOPでした。現地でも十分高価なオイルだったので、輸入したら高くなってしまう懸念があったのですが、DOPと同じ味とクオリティのオイルが、手頃な価格で買えるのなら、それにこしたことはありません。迷わず、“ヴァッリ・デッラ・タジャスカ”を仕入れることに決めました。

また、エクストラ・バージン・オリーブオイルと並んで、私達が愛用していたもののひとつに、ヴェンチュリーノ社のジェノベーゼ・ペーストがあります。何度か購入していたので美味しいのは承知していたのですが、他にも実に様々な商品を作っていることを、この日初めて知りました。しかも試食をしてみて、その全体レベルの高さにあらためて驚きました。息子さんが言うには、オイル工房を始めたのは1945年ですが、20年前に今のヴァルターさんの代になってから、会社が大きくなりはじめたとの事でした。味付け、瓶やラベルのデザインのすべてに、洗練されたセンスが感じられる商品ラインナップには、ヴァルターさんの手腕がうかがえます。従業員は13名で、イタリア国内を中心に販売し、カナダ、オーストラリア、アメリカにも輸出しているそうです。

しかし、いずれにしろ私たちが大遅刻してしまい、訪問したのが終業後だったので、肝心な仕事ぶりは見ることができませんでした。再度の訪問を決めてその日は帰りました。